銀河系戦争の後期、ホラズム星系の中心である恒星HD232bが異常な高エネルギー放射線バーストを起こしました。被害はほぼ星系全体に及び、70%以上の都市、スペースステーション、建造物、艦隊が壊滅的な損害を負い、L893号スターゲートは防護施設が破損し使用不能になりました。この恒星バースト現象は現在も続いており、星系全体が「危険区域」に指定されています。一部勢力はラグランジュ ネットワーク内のホラズム星系に向かうノードを閉鎖しました。
このような現象は、その後数十年にわたり複数の星系で発生し、巨大な被害をもたらしました。「一部恒星系の高エネルギー バースト発生原因およびネットワーク損害状況報告」によると、空間共振点における曲率の異常変動が恒星の中心引力に影響を及ぼし、不規則に内部の高エネルギー放射線を噴出させることで、星系に重大な被害をもたらすとされています。この現象は科学者によって「空間曲率震動」と名づけられ、通称「ワープ共鳴」として知られています。
現在判明している情報によると、恒星の異常活動には一定の規則性があります。拡大期、活発期、縮小期の3つのステージがあり、星系内の放射線帯の広さも活動の強さに伴って変化するようです。恒星が異常活動に入っている間、間欠的に高エネルギー放射線バーストを放つことがあり、都市、スペースステーション、艦隊の運行に影響を及ぼします。一部の天体はバーストをせき止め、後方に高エネルギー放射の影響を受けない影を作ります。この区域は開拓者にとって重要な安全エリアとなります。
アントニオス財団も今回の災難と無縁ではなく、経営下の一部星系が「空間曲率震動」を起こし始めています。恒星が不規則に高エネルギー放射を発し、星系環境に深刻な影響を与えています。財団幹部たちは星系内にある大量の実験データを含む貴重な資産を速やかに移転すべく、「データ救出協定」を公開しました。経験豊富な開拓者を募り、危険に満ちた星系へ実験データの救出に向かわせようとしています。
星系内の建物は高エネルギー放射線バーストによる破壊を受け続け、廃墟と化した。そこで実験センターや観測基地に残された重要データを早急に救出し、輸送しなければならない。廃墟となったスペースステーションは居住や使用には適さないが、今なお大量の資源や補修可能な艦船の残骸、さらに重要な実験データが残されているため、開拓者たちは収集に向かうことになる。廃墟の中で発見を待つこうしたデータは、あらゆる星間勢力が着目し、捜索している。
アントニオス財団が主導する惑星生態系改造実験計画「ガーデン」は、既に5期にわたり数百の星系で実施された。しかし一部の星系は恒星活動の異常により星系環境が悪化し、生存に適さなくなったことから大部分が荒廃し、多くの重要データが廃墟に埋もれてしまうことになった。今回の協定の目的は、「ワープ共鳴」の影響で荒廃した星系から惑星の研究データと観測データを救出することである。
ラグランジュ ゲートは多くの星系で建設されていますが、その建造過程でも同じ方式が採用され、多数のビーコンを放ってノード通過率のストレステストを行うため、各星系で同じような光景がみられるようになりました。ラグランジュ ノード開発ブームの中で、銀河系各地に「星の灯祭」が広がっていったのです。
「きらきらひかる おそらのほしよ」
ーー地球圏に伝わる言葉
「彼岸」計画のビーコンテスト段階では、次々とビーコンが放たれました。これらは研究の不十分なラグランジュ ノードを通り、向こう側の星系を探索・記録し、出口確定実験のために多くの貴重なデータを集めました。 その後数十年の入念な準備を経て、第2フェーズでは強力な航続能力を持つ2,347,260個もの大型ビーコンがチャンネル内に向けて発射されました。チャンネルの安定性と耐圧性をテストすることがその目的です。ビーコンは、地球の空に一年ほども星々のようにまたたいていたため、人々はこれを見て心温まる呼び名をつけました。それが「星の灯」です。